腐女子な管理人による徒然ブログ。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
お待たせしました!連載17話目です!
サブタイトルは「息子さんを僕にください!」です(笑) 考えてるときはそんななかったはずなのに、書き始めるとそのフレーズが頭から離れなかった!
それでは続きからどうぞ~
サブタイトルは「息子さんを僕にください!」です(笑) 考えてるときはそんななかったはずなのに、書き始めるとそのフレーズが頭から離れなかった!
それでは続きからどうぞ~
Eternal trinity 17
―――小さな家を買いました。
地中海の家を連想させる真っ白い壁、大きい窓からは日差しが差し込み、家には光が溢れている。真新しい木の匂い。この家でスザクとホクトの新しい生活がスタートした。…と、そう簡単にいかないのが世の中であった。
「…ここに、住んでたの?」
「うん、そうだよ」
スザクとホクトは引越しの荷造りのため、ホクトが住んでいた家にやってきた。目の前にあったのは家というよりも避暑地にでもありそうな洒落たペンションのように見えた。
「名義は桐原のじいちゃんで、ここにちゃんと住んでるのは俺1人」
「え、こんな広い家に1人なの?」
「うん、他の人たちはいちよ自分の家持ってるから」
「え、ええ?」
なんだか混乱してきたスザクに構うことなく、ホクトは玄関に向かっていく。
「ただいまー」
そう言ってドアを開ければ、家の奥の方からおかえりと言う声が聞こえてきた。しかも、聞き間違えでなければ複数人いるようだった。
「ちょ、まっ、どういうこと?」
「何が?」
振り返り首を傾げるホクト。その姿に混乱も忘れ、ああなんて可愛いんだと思ってしまうすっかり親馬鹿なスザク。当然のことながら話は一向に進まない。
「私から説明しよう」
「鏡兄!」
声のする方を向けばそこにいたのは苦笑を浮かべた藤堂の姿がある。どうやら藤堂にスザクの思考はすっかり見透かされてしまっているようだった。
「この家の空き部屋は元黒の騎士団の幹部に解放されていてね、私も含め皆、適当な部屋を自分の部屋としているんだ。ホクト君の言うように私たちはちゃんと自分の家も持っているのだがね、大概の連中はここにほとんど入り浸ってる状態だ」
「神楽耶姉ちゃんもそうしてるよ」
黒の騎士団の幹部連がここにいるのはホクトを1人にしないためだ。リーダーであるゼロ――ルルーシュが遺した忘れ形見であるホクトを彼らは慈しみ、その成長を見守ってきたのだ。
スザクは自分が知らずにいた間もホクトが確かに愛されていたことを知り、安堵と感謝、それとほんの少しの寂寥を感じた。自分が最初から傍にいてあげたかった、なんてどうしようもないことを思った。
「あ、真兄は自分の家は女の人を連れ込むときだけ使うって言ってた」
スザクは先程思ったことを少し訂正する。みんながみんなそうではないらしい。10歳弱の子供にそんなことを言うなんて、もし会うことがあったら教育的指導が必要だ。
「…玉城のやつ、紅月に知られたらどうなることやら」
藤堂の呆れ帰った声に、どうやら自分が手を下さずともカレンがどうにかしてくれることを知る。
「私がどうかした?」
噂をすれば何とやら、カレンが階段から降りてくる。ホクトを見て緩んだ瞳が、スザクの姿を認め剣呑な光を孕む。
「…枢木スザク」
真っ直ぐにスザクを見据えるカレンの瞳から目を逸らさず、受け止める。
「私は、貴方を認めたわけじゃないわ。ホクトを泣かしたら絶対に許さないから!」
「誓うよ。絶対に泣かさない」
「その言葉、忘れないでね」
それだけ言ってカレンはスザク達の横を通り過ぎ、玄関から出て行った。
「スザク君、紅月も悪気があるわけじゃないんだ」
「わかっています」
カレンの瞳は真剣だった。スザクに対し思うことはあるだろうが、それよりも彼女が真剣に思っているのは、ホクトの幸せだと伝わってきた。
「それに、ホクトを今まで育ててくれた人たちにちゃんと伝えておきたかったから」
「…、父さん」
ホクトの小さな掌がスザクの手をぎゅっと握った。それに答えるように握り返して、そっと微笑んだ。
荷造りがほぼ終わった頃、コンコンと部屋をノックする音がした。
「失礼します」
「神楽耶姉ちゃん、どうしたの?」
部屋に入った神楽耶は荷物がなくなり、妙に広々とした部屋を見渡し、寂しげに微笑んだ。
「本当に行ってしまうのですね」
神楽耶はホクトの前に膝をついて、その頬を包み込む。
「ホクト、貴方の名前は北天の空に輝く星の名から付けられました。古くから人々を導いてきたその星のように、貴方はわたくしたちの道を示す星でした」
ただただ夢中だった。ルルーシュの意志を継ごうと、ルルーシュが望んだ未来と造り上げなくてはと。その先にはいつだって北斗の笑顔があったから出来たのだと。
「今までも、これからも、わたくしたちはホクトの幸せを願っています。いつだってわたくしたちはここにいますから、いつだって貴方を歓迎しますわ」
そう微笑んだ後、神楽耶はスザクに向かって頭を下げた。
「ホクトを、よろしく頼みますわ」
「神楽耶…」
「わたくしたちにとってもホクトは大切な子供ですから」
「勿論、だよ。神楽耶、あのとき僕を叱ってくれてありがとう、おかげで僕は大切なものに気が付くことが出来た」
あの時、神楽耶がスザクを叱り飛ばさなければ、今こうしていることはなかったであろう。感謝してもしきれないほど、神楽耶には感謝している。
「あれは、わたくしのエゴですわ。わたくしたちではルルーシュさまの死の決意を変えることが出来なかった。…もしかしたら、貴方だったら、未来は違ったのかもしれない。そう思ったら止まらなかった、ただそれだけのこと」
神楽耶はそっと1枚のディスクを差し出した。
「神楽耶ねえちゃん、これなに?」
「ルルーシュさまの画像データと映像データがほんの少しですが入っています。ルルーシュさまはデータに残されることを嫌がっておられましたから、本当に少しですが、騎士団メンバーが持っていたものをすべて集めました」
ホクトはおずおずとして手付きでそのディスクを受け取り、神楽耶を見る。
「これ…」
「本当はもっと早く、ホクトに見せてあげるべきでしたね。ごめんなさい。」
地中海の家を連想させる真っ白い壁、大きい窓からは日差しが差し込み、家には光が溢れている。真新しい木の匂い。この家でスザクとホクトの新しい生活がスタートした。…と、そう簡単にいかないのが世の中であった。
「…ここに、住んでたの?」
「うん、そうだよ」
スザクとホクトは引越しの荷造りのため、ホクトが住んでいた家にやってきた。目の前にあったのは家というよりも避暑地にでもありそうな洒落たペンションのように見えた。
「名義は桐原のじいちゃんで、ここにちゃんと住んでるのは俺1人」
「え、こんな広い家に1人なの?」
「うん、他の人たちはいちよ自分の家持ってるから」
「え、ええ?」
なんだか混乱してきたスザクに構うことなく、ホクトは玄関に向かっていく。
「ただいまー」
そう言ってドアを開ければ、家の奥の方からおかえりと言う声が聞こえてきた。しかも、聞き間違えでなければ複数人いるようだった。
「ちょ、まっ、どういうこと?」
「何が?」
振り返り首を傾げるホクト。その姿に混乱も忘れ、ああなんて可愛いんだと思ってしまうすっかり親馬鹿なスザク。当然のことながら話は一向に進まない。
「私から説明しよう」
「鏡兄!」
声のする方を向けばそこにいたのは苦笑を浮かべた藤堂の姿がある。どうやら藤堂にスザクの思考はすっかり見透かされてしまっているようだった。
「この家の空き部屋は元黒の騎士団の幹部に解放されていてね、私も含め皆、適当な部屋を自分の部屋としているんだ。ホクト君の言うように私たちはちゃんと自分の家も持っているのだがね、大概の連中はここにほとんど入り浸ってる状態だ」
「神楽耶姉ちゃんもそうしてるよ」
黒の騎士団の幹部連がここにいるのはホクトを1人にしないためだ。リーダーであるゼロ――ルルーシュが遺した忘れ形見であるホクトを彼らは慈しみ、その成長を見守ってきたのだ。
スザクは自分が知らずにいた間もホクトが確かに愛されていたことを知り、安堵と感謝、それとほんの少しの寂寥を感じた。自分が最初から傍にいてあげたかった、なんてどうしようもないことを思った。
「あ、真兄は自分の家は女の人を連れ込むときだけ使うって言ってた」
スザクは先程思ったことを少し訂正する。みんながみんなそうではないらしい。10歳弱の子供にそんなことを言うなんて、もし会うことがあったら教育的指導が必要だ。
「…玉城のやつ、紅月に知られたらどうなることやら」
藤堂の呆れ帰った声に、どうやら自分が手を下さずともカレンがどうにかしてくれることを知る。
「私がどうかした?」
噂をすれば何とやら、カレンが階段から降りてくる。ホクトを見て緩んだ瞳が、スザクの姿を認め剣呑な光を孕む。
「…枢木スザク」
真っ直ぐにスザクを見据えるカレンの瞳から目を逸らさず、受け止める。
「私は、貴方を認めたわけじゃないわ。ホクトを泣かしたら絶対に許さないから!」
「誓うよ。絶対に泣かさない」
「その言葉、忘れないでね」
それだけ言ってカレンはスザク達の横を通り過ぎ、玄関から出て行った。
「スザク君、紅月も悪気があるわけじゃないんだ」
「わかっています」
カレンの瞳は真剣だった。スザクに対し思うことはあるだろうが、それよりも彼女が真剣に思っているのは、ホクトの幸せだと伝わってきた。
「それに、ホクトを今まで育ててくれた人たちにちゃんと伝えておきたかったから」
「…、父さん」
ホクトの小さな掌がスザクの手をぎゅっと握った。それに答えるように握り返して、そっと微笑んだ。
荷造りがほぼ終わった頃、コンコンと部屋をノックする音がした。
「失礼します」
「神楽耶姉ちゃん、どうしたの?」
部屋に入った神楽耶は荷物がなくなり、妙に広々とした部屋を見渡し、寂しげに微笑んだ。
「本当に行ってしまうのですね」
神楽耶はホクトの前に膝をついて、その頬を包み込む。
「ホクト、貴方の名前は北天の空に輝く星の名から付けられました。古くから人々を導いてきたその星のように、貴方はわたくしたちの道を示す星でした」
ただただ夢中だった。ルルーシュの意志を継ごうと、ルルーシュが望んだ未来と造り上げなくてはと。その先にはいつだって北斗の笑顔があったから出来たのだと。
「今までも、これからも、わたくしたちはホクトの幸せを願っています。いつだってわたくしたちはここにいますから、いつだって貴方を歓迎しますわ」
そう微笑んだ後、神楽耶はスザクに向かって頭を下げた。
「ホクトを、よろしく頼みますわ」
「神楽耶…」
「わたくしたちにとってもホクトは大切な子供ですから」
「勿論、だよ。神楽耶、あのとき僕を叱ってくれてありがとう、おかげで僕は大切なものに気が付くことが出来た」
あの時、神楽耶がスザクを叱り飛ばさなければ、今こうしていることはなかったであろう。感謝してもしきれないほど、神楽耶には感謝している。
「あれは、わたくしのエゴですわ。わたくしたちではルルーシュさまの死の決意を変えることが出来なかった。…もしかしたら、貴方だったら、未来は違ったのかもしれない。そう思ったら止まらなかった、ただそれだけのこと」
神楽耶はそっと1枚のディスクを差し出した。
「神楽耶ねえちゃん、これなに?」
「ルルーシュさまの画像データと映像データがほんの少しですが入っています。ルルーシュさまはデータに残されることを嫌がっておられましたから、本当に少しですが、騎士団メンバーが持っていたものをすべて集めました」
ホクトはおずおずとして手付きでそのディスクを受け取り、神楽耶を見る。
「これ…」
「本当はもっと早く、ホクトに見せてあげるべきでしたね。ごめんなさい。」
顔も声も知らない母を恋しがっているのに気が付いていたのに、ルルーシュとの約束を言い訳にして見せずにいた。母に会いたいと泣くホクトを見るくらいなら、大切な人との約束でも破ってみせる。ホクトの笑顔を守るためなら、ルルーシュも怒りはしないだろうから。
「ありがと、神楽耶姉ちゃん」
宝物を抱きしめるように、そっと、けれど決して話すまいと、ホクトはディスクをしっかりと胸に抱え込んだ。
願っている、祈っている、誰よりも君の笑顔を、君の幸せを。
******
玉城は玉城なりに愛情をもって接してますよ?(笑)
「ありがと、神楽耶姉ちゃん」
宝物を抱きしめるように、そっと、けれど決して話すまいと、ホクトはディスクをしっかりと胸に抱え込んだ。
願っている、祈っている、誰よりも君の笑顔を、君の幸せを。
******
玉城は玉城なりに愛情をもって接してますよ?(笑)
PR
この記事にコメントする