腐女子な管理人による徒然ブログ。
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B.M.W.12話目です! 2人の関係がようやく動き始めたわけですが、ここまでが長かったなぁ;
どうでもいい話ですが、Coccoの「樹海の糸」って曲が最近どうしようもなくスザルルソングに聞こえてしょうがありません! わたしがルルで、あなたがスザク。切ない…!
それでは続きからどうぞ!
どうでもいい話ですが、Coccoの「樹海の糸」って曲が最近どうしようもなくスザルルソングに聞こえてしょうがありません! わたしがルルで、あなたがスザク。切ない…!
それでは続きからどうぞ!
Burn My World 12
緊張した面持ちでスザクが医療ルームに向かうと、扉の前に誰かが立っていた。ラクシャータだ。
「枢木スザク?」
「あ、はい。自分です」
「中で待ってるよ。もう大丈夫だとは思うけど何かあったら緊急コール鳴らしてちょうだい」
「え、」
「部外者が聞き耳立ててるなんて無粋だろう?」
そういって妖艶にラクシャータは微笑んで、その場を離れていく。スザクは呆気に取られながらもそのまま棒立ちでいるわけにも行かないので、入室を求めるブザーを押す。その指先は緊張に微かに震えていた。
『入れ』
了承を促す声に、スザクは室内に足を踏み入れる。中にはベッドに背を凭れさせているルルーシュの姿があった。その顔色は良好とは言い難い。
「こんな姿で悪いな」
「いえ、殿下の体に無理がないようにしてください」
「今回は助かった。おまえの止血がなければ死んでいたかもしれないとラクシャータに聞いた」
「そんな、恐縮です」
それで会話は止まってしまう。なんとも言い難い沈黙。
向かい合うと決めたスザクではあったが、なんと言えばいいのかその切り出しに困っていた。まさか今まで貴方のこと見てませんでしたすみません、なんて冗談みたいなことを言うわけにもいかないし、とスザクは内心頭を抱える。
しかしこのまま黙ったままでいるわけにもいかない。退室を命じられたらスザクは従うしかないし、この機を逃したらいつまたルルーシュと会話できるかなんてわからないのだから。
「「……あ、」」
覚悟を決め話しかけようとした声は、見事にルルーシュの声と被ってしまう。
「すまない、枢木話していいぞ」
「いえ! そ、そんな、殿下からどうぞっ」
「そうか…その、なんだ」
ルルーシュは珍しく言い淀み、困ったように瞳を彷徨わす。
「おまえが俺を助けたときに言ったことだが…」
―――おまえは、だれを みている…?
あの時の言葉が蘇る。この言葉はスザクが自分と向かい合うきっかけをくれた言葉だ。
「すまない、忘れてくれ」
「え…?」
「その、おまえに言う気はなかったんだ。俺は確かにおまえの上官ではあるが、おまえの心を支配することなど出来ない。おまえが誰を思おうとそれはおまえの自由なのに、それを責めることはエゴでしかない。…だから、すまない」
ルルーシュらしい潔さだった。けれど、スザクはその言葉にはいそうですかと頷くことなど出来ない。
「謝らないでください!」
「枢木…?」
「僕は…僕は、ずっと勘違いをしていたんです。貴方はルルーシュというただ1人の人なのに、僕は、それに気が付かないでいた! そんな僕にそのことを気付かせてくれた言葉を忘れることなんか出来ない、忘れたくなんかないんです…!」
戸惑いを浮かべたルルーシュの瞳がスザクを見る。スザクはぽつり、ぽつりと語り始めた。
「小さい頃から同じ夢を見るんです。騎士がいて、仕える王がいて、けど騎士は王を助けること出来なくて、王は死んでしまう。その夢を見るたび、心が壊れそうなくらい、辛くて、悲しくて、悔しいんです」
心にぽっかりと空いた喪失感、あれを抱えて生きるのは酷く滑稽だった。けれど、その時、ルルーシュと出会った。妄信するかのようにその存在に縋った。
「でも貴方に会った時に、ようやく王に会えたと思って…嬉しくて舞い上がってた。王だ、それだけしか目に入らなかった…」
「わかるよ」
ルルーシュの穏やかな声が響く。
「俺も夢を見る。おまえのように辛い夢ではないけれど、夢を支えにしていることがあった。辛い夢を繰り返し見ることは苦しかっただろう」
白く細いルルーシュの手がスザクの頬に伸ばされ、そっと撫でた。
「思い悩むことない。おまえが悪いんじゃないから」
心に染み渡る優しい言葉が、触れ合った場所から伝わる心地よい体温が、スザクに積み重なっていた騎士の悲しき想いをそっと溶かしていく。
「あ、りが…とう、ござい…っ」
目頭が燃えるように熱くなって、視界が歪む。
「馬鹿だな、泣くことないだろう」
「な、いてま…せッ」
困ったように微笑むルルーシュがそっとスザクを引き寄せ、その細い肩に顔を寄せさせる。スザクはそれに甘えるように肩に顔を埋めた。背を宥めるように優しく叩かれ、スザクは涙を堪えることが出来なかった。ルルーシュは何も言わずにスザクのセをリズム良く叩き続けた。
「……殿下、」
「なんだ?」
「僕、貴方をちゃんと知りたいです。そして貴方を支えたいです」
そこで言葉を一度切って、スザクはまっすぐにルルーシュを見つめる。
「貴方の傍にいてもいいですか…?」
スザクのその言葉にルルーシュは一瞬驚いた表情を浮かべ、そして柔らかな笑みをスザクに向けた。
「そんなこと、ずっと前から許してるよ」
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次はちょっとした番外編的な話をお送りする予定です!
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