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腐女子な管理人による徒然ブログ。
2024/11
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 ついにこの23話でEternal trinityは完結です! 完結まで書ききることが出来たのも応援してくださった皆さんの温かいお言葉があったからです! ありがとうございました!!



 それでは続きからどうぞ!




Eternal trinity 23




 暗い、暗い、その世界。そこはまるで光すら届かぬ深海の果て。彼女はそっとそこで目を覚ますが、身体は鉛が巻き付けられたかのように動かない。
 どうして、そう呟こうにも声も出なかった。暗闇の中で彼女は途方に暮れる。
『おまえというやつは…私に手間を掛けさせるな』
 懐かしい声が暗闇に響いた。
(…C.C.
『まったく、変わらずぬるいな』
 温かい何か、おそらくC.C.の掌が彼女に縛り付けられた戒めを解いていく。ふわりと身体が宙に浮く感覚。そして記憶が溢れる。
 契約は終えたと言い処刑前日に消えたC.C.、死んだ自分とそれを見下ろす自分、焼き付くような輝き、遠き日に亡くした母とC.C.の姿。再び目覚めたときにはすべてを忘れていた。記憶の回路が断裂してしまったからであろう。
(何故、私を生かした)
『自惚れるな。生かしたのではない、Cの世界に来られても邪魔だからな、そちらに送り返したまでだ』
(なら何故、今もここにいる)
 与えられた王の力と共にCの世界に送られたルルーシュを王の力と引き換えに傷ついた肉体を修復し、送り返しただけではなく、こうして黄泉路を彷徨う彼女を導こうとしているのだから、相当なお人よしだ。
『……おまえの甘さが移ったのかもな』
(勝手に言っていろ)
『おまえにCの世界は似合わない。行け、ルルーシュ』
 暗闇の中でC.C.は遥か上空を指差した。その先に一筋の細い光がある。ルルーシュの背がそっと押され、身体がゆっくりと光の元へ向かっていく。
 ―――ルルーシュ、幸せになりなさい
(…母、さま)
 その声の方へ振り向こうとした瞬間、眩しいほどの光に包まれる。光が辺りを真っ白に塗り替えていく。


「……ん、」
 そこは白い部屋だった。白いカーテンが靡くその隙間から覗く空は透き通るような青。膝の辺りに感じるぬくもりに視線を向ければ、そこには膝に頭を乗せ眠っているホクトの姿があった。思わず手を伸ばせば身体に痛みが走る。
「――っう…!」
 肩から響くような痛みに耐えながら、そっと身体を起こし、ホクトの頬に触れる。指先から伝わる、自分よりも高い体温。
「ホクト」
 最後の別れを告げて背を向けたその時のこと今でも忘れていない。あの時はあんな小さなホクトがこんなにも成長した姿を見ることなどないと思っていた。それが、今、目の前にいる。手を伸ばせば届く距離にいる。この子を置いていくことを自分で決めたと言うのに、この奇跡が泣きそうなほどに嬉しかった。
 眠るホクトの目元は真っ赤に腫れている。きっと酷く泣いたのだろう。
「…っごめんなさい、置いて行って…しまった」
 謝っても謝りきれるものなどではないと分かっていたけれど、謝るのを止められなかった。ごめんなさいと、何度も繰り返した。
 その時、廊下を誰かが歩いてくる音が聞こえた。その足音はまっすぐにこの部屋に向かい、プシュッとエアー音を立てて、ドアが開く。入ってきたのは、スザクだ。水でも替えてきたのだろうか、大きな花瓶を抱えていた。

「…ス、ザク」

 思わず名前を呼んでいた。その声に常盤の瞳が驚きの色を浮かべる。

「ルルーシュ…?」

 スザクの唇がルルーシュの名を呟いた。昔と変わらないその響き。さよならを告げたあの時から、もう呼ばれることなどなかったはずなのに。どうしようもなく嬉しくて、切なくて、愛しかった。切り捨てようとしても、捨て切れなかった思いが溢れ出す。
「スザク…!」
 ずっと泣きたくないと思っていた。泣くと弱くなってしまいそうで怖かったから。でも、今、涙が零れるのを止めることは出来そうになかった。ボロボロと零れ落ちる涙がシーツに落ちては、次々と吸い込まれていく。
「ルルーシュ!」
 ガシャンと音を立てて花瓶が落ちた。それを確認する前に、スザクに抱き締められる。痛いほどの抱擁に息が詰まるけど、放して欲しいとは思わなかった。
(私はずっと、この人が欲しかった―――)
 愛し、愛されて、傍にいて、抱き締めて、抱き締められて、ずっと一緒にいたいと願っていた。失うのを恐れて戸惑って、理由をつけて諦めようとしたけれど、出来るわけがなかった。
「スザク、スザク、スザク…っ」
「本当にルルーシュ、なんだね」
 スザクは抱擁を解いて、両手でルルーシュの頬を包み込み、顔を覗き込む。
「夢じゃ、ないよね…?」
「当たり前だ…バカっ」
 ルルーシュの言葉にスザクは安堵の表情を浮かべて、微笑んだ。その目には薄っすらと涙が浮かんでいる。
「…相変わらず、泣き虫だな」
「君とまた会えて嬉しくて、涙が出るんだよ。ねえ、ルルーシュ」
 なんだ、と返そうとしたルルーシュの唇にそっとスザクのそれが重なった。
「愛してる。君を愛してるんだ、ルルーシュ」
「…スザ、……んっ」
「ずっと言えなかった。ルルーシュが死んだと知ったとき、後悔した。守ることも、想いを告げることも出来ずに、死なせてしまったことを。それからただ死なないから生きていた。けど、ルルーシュがホクトを遺してくれたから生きようって思えた、ホクトのおかげでまた君と出会えた」
 スザクはルルーシュの膝の上で眠っているホクトの頭をそっと撫でる。
「ルルーシュ、僕とホクトの、家族になって下さい。」
「…私は、おまえたちを置いていったんだぞ」
「でも、こうして会えた」
 スザクの言葉に素直に答えることの出来ないルルーシュに更にスザクは言葉を重ねた。
「ルルーシュは、いや?」
「嫌なわけ、ない…!」
 嫌だなんて心にもないことを答えられるわけがなかった。
「私も、スザクとホクトと、家族に…なり、た…!」
 一度は止まったはずの涙が再び溢れて、スザクの指がその涙をやさしく拭った。そうして、また抱き締められる。今度は真綿で包むようにふんわりと。
「ルルーシュ、愛してるよ」
「私も好き。スザクを愛してる」
 ずっとずっと言うことのなかった言葉。この言葉を紡ぐことの許されたその幸福を逃さないように、ルルーシュはスザクの背に手を回し、抱き返した。








 世界は変わらず残酷だけれど、愛することを禁じたわけではなかったのだ。









「ふぁ…母さんおはよう」
「おはよう、ホクト」
「朝ご飯なにー? あ、ジャーマンポテト! 母さんのジャーマンポテトだいすき!」
「早く食べたかったら、お父さんを叩き起こしておいで」
「りょうかーい!」
「うわっ、ちょ、ホクトー!?
「父さん、日曜だからって寝てるからだよ! 早く起きろー!」
「まっ、待って! 今、起きるってば…!」
「聞こえなーい!」
「わああっ! る、ルルーシュ、助け…ッ」
「早く起きないのが悪いんだよ、バカ」










End.




 今まで連載にお付き合いくださり、本当にありがとうございました!
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11/09 ここな
『Etemal trinity』完結、おめでとう御座います!!

そして、お疲れ様でした!!


ラスト、凄く良かったです!!感動でした!!
皆が幸せな終わり方で、本当に良かったですvV

この様な素敵なお話を読ませて下さって、有り難うございました!!

これからも頑張って下さい!!
期待していますvV


でで、リクエスト……幾つかさせて頂いて宜しいでしょうか?

●ルルとスザクの結婚式
→ホクトが「父さんと母さんは結婚式したの?父さん、ちゃんと母さんにプロポーズはしたの?」と、スザクに詰めよって………

●ルルーシュ、皇族の方々とのご対面
→ひょんな事から、ルルーシュが生きている事がばれちゃった!!皇族の方々は複雑な心境ではあるものの、やはり大好きなルルーシュに合いたがり、スザクにその事を打診する。しかしルルーシュは、合わせる顔が無いと思い悩み……

●ホクトのお誕生日会
→ルルーシュは、これまで一緒にいられなかった分のホクトの誕生日を祝いたいと思い、様々な計画を立てるが………

●辛かったことをスザクに暴露するルルーシュ
→ゼロとしてスザクと対面しなければならなかった事、スザクに妊娠を伝えられなかった事、ホクトを残して死ななければならなかった事etc……ついついスザクにぶちまけてしまったルルーシュ。


素敵な小説って、本当に妄想が広がります(笑)

もし、この中で使えそうなネタがあったら、使ってやって下さいvV

内容は変えても構いませんのでvV

どうぞお好きになさって下さいvV


それでは、長々と失礼致しました<m(__)m>
 ありがとうございます! これもそれも応援してくださったここな様方がいらっしゃったからです!!
>ラスト、凄く良かった~
 そう言って頂けると嬉しいです! 最初は違うラストだったのですが本当にこっちにして良かったなとしみじみ思います。
>でで、リクエスト~
 素敵なネタをたくさんありがとうございます!! 結婚式とか盲点でした(笑) そういや挙げてないんですよね、あの2人。ルルーシュのウェデングドレスとか絶対素敵ですよね! 見たい、誰か描いて…! ついでに仕切り直し初夜とかも…ごにょごにょ
 さっそく1つ使わせていただきました! ありがとうございました!!

 これからもマイペースに愛のままに更新頑張りますのでよろしくお願いしますね!
11/10
11/09 莉沙
終わっちゃいました…(;д;)
ちょっと淋しいです。。でも、お疲れ様でした!本当に楽しませていただきました~
ハッピーエンドありがとうございます
やっぱり、ルルが…ホクトが幸せになってくれて良かったです♪あ、スザクも…(・・。)ゞ テヘ

CCは…ルルともう一緒にはいなかったのですね、
最後のCCとのやり取りも「らしくて」良かったです♪
ルル♀とCCだと、偉そうなCCでも優しい感じになりますよねv

えっと、リクエスト受け付けてくださるという事で…ひゃーいいんでしょうか?嬉しすぎます!!
では…棗さまのネタのきっかけになれば、、

やっぱり、これからのルルたちの生活、「普通のパパとママ」としてのスザクとルルとホクトの話が読んでみたいですv
ホクトは…学校とか行ってるのかわかりませんが…ヾ(><*)
授業参観や運動会などに参加してみたり?とか
でもスザクと親子リレーとか…反則っぽいかな(笑)
っていうか、ものすごい若いパパママしかも美形同士で…友達にも自慢できますよね~
ホクトうらやましい・・・

あと。。
幼いホクトと騎士団の皆の生活が見てみたいです♪
神楽耶とホクト、のやり取りは本編でも少し見れましたが、カレンや藤堂さん、玉城など…どんな風に過ごしてきたのかなーとv

ルルが死んだと思っているナナリーや生徒会メンバーにも生きてる事を知らせてあげたい…けど、ナナリー以外は、また設定とか考えるの大変ですよね…><
ナナリーとルル、ホクトの対面が見れたら幸せです♪

なんて、変なリクしてしまってごめんなさい><
↑の中でもし、これなら書けそう~と引っかかるものがありましたら、ぜひ読ませていただけたら幸せですv
終わりも素敵だったので…妄想も尽きないです
 温かいお言葉ありがとうございます! 寂しいと思っていただけるほどこの作品を楽しんでいただけ、嬉しく思います!
>ハッピーエンド~
 1話の注意書きを見ていただければ分かると思うのですが、これ最初はルルーシュ生き返らない話でした(オイ) 2章はスザクが時間をかけてホクトとの絆を作って、ルルの為にもこの子を幸せにするよ的な展開で、今考えるとどうよそれ、ですね(苦笑) このハッピーエンドは莉沙さまが導いたものだといっても過言ではないですね!
>CCは…ルルともう~
 そうだったんです。ホントは神楽耶視点から消えるC.C.を目撃させるシーンもあったんですが、いろいろ考えカットしてました。C.C.はホントお母さん的ポジションですよね。私は公式もそう見えて仕方がありません(笑)
>えっと、リクエスト~
 素敵なネタをありがとうございます!! 運動会!授業参観!すごくいいですね、是非行って欲しい! スザクとホクトで親子リレーなんか出たら間違えなくぶっちぎり1位ですよね~(笑) 騎士団子育て!本編では考えていたより神楽耶がズイズイ動いてくれたので、他のメンツは出番少なかったですもんね; ナナリーや生徒会メンバー…全員は無理かもですが、再会話も書いてあげたいです!こうなったら全員まとめて幸せにしてやるぜ!的なノリで!
 頂いた素敵なネタは近いうちに形にしたいと思いますので、適度な期待でお待ちくださいませ♪ 
11/10


material by アルフェッカ

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